映画『イミディエイト・ファミリー』に登場する西海岸ロック名盤ガイド
2026年6月19日、ドキュメンタリー映画 『イミディエイト・ファミリー』(原題: Immediate Family) が日本で限定公開される。 上映劇場は TOHOシネマズ シャンテ、kino cinéma 新宿、YEBISU GARDEN CINEMA を皮切りに、 その後全国順次拡大の予定。監督は『The Wrecking Crew』(2008) で 60年代ロサンゼルスのスタジオ・ミュージシャン群像を描いた Denny Tedesco。
被写体は、70年代の西海岸ロック黄金期にレコーディング・スタジオの主役を担った 4人のセッションマン ── Danny Kortchmar(ギター)、 Waddy Wachtel(ギター)、 Leland Sklar(ベース)、 Russ Kunkel(ドラムス)。 彼らは初期に The Section という名義でアルバムを発表し、 近年は Steve Postell を加えた The Immediate Family として活動を続けている。 Jackson Browne、 James Taylor、Linda Ronstadt、 Carole King、Warren Zevon、Don Henley(Eagles)、 Stevie Nicks、Crosby & Nash、Phil Collins、Keith Richards、Neil Young ── 映画には、彼らがバックを支えてきたアーティスト達のインタビューが多数登場する。
注意:同名の別作品があります
2026年に Amazon Prime Video で配信予定の アクション映画「レッキング・クルー」(Wrecking Crew)とは無関係。 本作の監督 Denny Tedesco が手がけたのは2008年の音楽ドキュメンタリー 『The Wrecking Crew』であり、本作はその後継的な続編として 位置づけられる作品。
4人のセッションマンと「西海岸の音」
1970年代前半、ロサンゼルスのスタジオでは、 シンガーソングライターとカントリーロックを横断する新しいサウンドが 日常的に録音されていた。アコースティック・ギター中心の編成に、 抑制の効いたドラム、歌うベース、的確なエレキ・ギターを重ねる ── そのリズム・セクションを安定して提供できる職人集団として、 Kortchmar、Wachtel、Sklar、Kunkel の4人は欠かせない存在だった。
なかでも Kortchmar(別名 Danny "Kootch" Kortchmar)は James Taylor との長年の盟友であり、 Kunkel と Sklar は1970年代を通じて Taylor のバックバンドを支えた中心人物。 Wachtel は Linda Ronstadt の音楽監督的役割を担い、後に Keith Richards との X-Pensive Winos でも知られるようになる。 4人が同じセッションに揃う場面が増えるにつれ、 彼らは The Section という名義でインスト・アルバムを発表するようにもなった。
当サイト掲載の名盤との対応表
映画でも語られる、彼らが参加した代表的なアルバムのうち、 当サイトに記事があるものを以下に挙げる (収録曲・パーソネルは各アルバム本来のクレジットに基づく)。
Running on Empty
参加: Danny Kortchmar(g)、Russ Kunkel(ds)、Leland Sklar(b)
1977年の全米ツアーをそのまま素材にした、ライブ録音とスタジオ録音を融合した 異色作。録音はステージ上だけでなくホテルの部屋・ツアーバスの車内・楽屋でも行われた。 まさに4人のうち3人を含む「ツアーバンドそのもの」が刻まれた一枚であり、 映画のテーマと最も直結するアルバム。 アルバム詳細 →
The Pretender
参加: Danny Kortchmar(g)、Russ Kunkel(ds)、Leland Sklar(b)
妻 Phyllis Major の死を経て制作された4作目。Jon Landau がプロデュースを担当した 内省的な傑作で、Kortchmar / Kunkel / Sklar の3人が リズム・セクションの中核として広く参加している。 アルバム詳細 →
Hasten Down the Wind
参加: Waddy Wachtel(g)、Russ Kunkel(ds)
Peter Asher プロデュースによる7作目。グラミー賞ベスト・ポップ・ヴォーカル (女性)を受賞した。Wachtel が Ronstadt のバックバンドの中心ギタリストとして 関わり始めた時期の作品であり、Kunkel もドラムで参加している。 アルバム詳細 →
Simple Dreams
参加: Waddy Wachtel(g)、Russ Kunkel(ds)
ビルボード200で5週連続1位を記録した、Ronstadt 商業的ピークの作品。 Wachtel は本作以降も Ronstadt のレコーディング/ツアーの音楽的中核として 長らく関わり続けることになる。 アルバム詳細 →
You're Only Lonely
参加: Waddy Wachtel(g)
Columbia Records へ移籍して発表されたソロ3作目。タイトル曲が 全米7位を記録した、Souther 最大のヒットアルバム。 Wachtel がギタリストとして参加し、サウンドの軸を担っている。 アルバム詳細 →
ザ・セクションの4人(人物紹介)
映画の主役である4人のセッションマンについて、それぞれ個別の人物紹介ページを用意した。 経歴、主な所属バンド、当サイト掲載アルバムへの参加状況がまとめてある。
- Danny Kortchmar(ダニー・コーチマー) ── ギタリスト/ソングライター/プロデューサー。James Taylor の長年の盟友
- Waddy Wachtel(ワディ・ワクテル) ── ギタリスト。Linda Ronstadt の音楽監督的存在、Keith Richards バンドのメンバー
- Leland Sklar(リーランド・スカラー) ── ベーシスト。長い白髭がトレードマーク、James Taylor / Phil Collins バンド
- Russ Kunkel(ラス・カンケル) ── ドラマー。Carole King『Tapestry』、Jackson Browne ツアー
関連アーティスト記事
映画にインタビュー出演する当サイト掲載アーティストの記事も合わせてどうぞ。
- Jackson Browne ── 4人のセッションマンと最も近い距離で活動してきたシンガーソングライター
- Linda Ronstadt ── Waddy Wachtel が長年バックを支えた西海岸の女性ヴォーカリスト
- Eagles ── Don Henley らメンバーが映画にコメント出演
- Joni Mitchell ── ローレル・キャニオン・シーンを共有する同時代の重要人物
- JD Souther ── Eagles 周辺と西海岸セッションマン両方に深く関わる存在
関連サテライト記事
- Jackson Browne × ザ・セクション ── 『Running on Empty』を支えた職人たち
- リンダ・ロンシュタットの70年代名盤を支えたセッションマン
- Don Henley / Eagles 周辺のセッションマン人脈
公開情報まとめ
- 原題
- Immediate Family
- 邦題
- イミディエイト・ファミリー
- 監督
- Denny Tedesco
- 日本公開日
- 2026年6月19日(限定公開、その後全国順次)
- 初回上映劇場
- TOHOシネマズ シャンテ / kino cinéma 新宿 / YEBISU GARDEN CINEMA
※ 本記事の上映情報は2026年5月時点で公表されているものです。最新の劇場・スケジュールは公式情報をご確認ください。 アルバム参加メンバーの記載は各アルバムのオリジナル・クレジット(Wikipedia 等で公開されている内容)に基づきます。 表記揺れや誤りがありましたら About ページ記載の連絡先までご指摘ください。