Jackson Browne × ザ・セクション ── 『Running on Empty』を支えた職人たち
Jackson Browne のレコードを聴くとき、私たちは知らず知らずのうちに 4人のセッションマン ── Danny Kortchmar、 Waddy Wachtel、Leland Sklar、 Russ Kunkel ── が作る音を聴いている。 2026年6月19日公開のドキュメンタリー 『イミディエイト・ファミリー』 の中心人物である彼らと、Browne のディスコグラフィーの結節点を整理した。
The Section とは
Kortchmar、Kunkel、Sklar の3人を中心に1972年に結成されたインストゥルメンタル・バンドが The Section。彼らは70年代を通じて James Taylor、Carole King、Jackson Browne、 Linda Ronstadt、 David Crosby、Graham Nash らのレコーディングとツアーを横断的に支えた、 ロサンゼルスを代表する「職人リズム・セクション」となった。 映画のタイトルとなった The Immediate Family は、 この The Section の流れを汲み、Waddy Wachtel と Steve Postell を加えて 2010年代から活動している現在進行形のバンド名でもある。
『Running on Empty』── ツアーバンドのドキュメント
Running on Empty(1977) は、Browne が1977年の全米ツアーをそのまま録音素材にしたコンセプト・アルバム。 ステージ上の演奏だけでなく、ホテルの部屋、ツアーバスの車内、楽屋などでも録音が行われ、 各曲のクレジットに録音場所と日付が明記されている、極めて特異な作品。
ここに刻まれているのは、まさに「ロードに出ている Browne バンド」そのもの。 Danny Kortchmar(エレクトリック・ギター)、 Russ Kunkel(ドラムス)、 Leland Sklar(ベース) が中核を占め、Browne 本人、David Lindley(スライド/フィドル)、 Doug Haywood が周辺を固める編成だった。 4人のセッションマンのうち3人の名前が、これほど主役級でクレジットされた ロック作品は他にあまり例がない。
『The Pretender』── 内省の作の足場
その前年に発表された The Pretender(1976) は、妻 Phyllis Major の死を経て作られた4作目で、Jon Landau がプロデュースを担当。 この作品でも Kortchmar / Kunkel / Sklar がリズム・セクションの中核として 広く参加しており、内省的なソングライティングを抑制されたバンド・サウンドで支えている。 『The Pretender』と『Running on Empty』は、Browne と The Section の関係が 最も濃密だった時期の2枚として並べて聴かれることが多い。
その他の Browne 作品との関わり
Browne の他のアルバム ── 『Late for the Sky』(1974) など ── にも、Russ Kunkel をはじめとする The Section の面々は ゲスト的に名前を連ねている。 ただし全曲・全パートに4人が揃うのは稀で、楽曲ごとに編成が組み替えられているのが Browne 作品の通例。映画を観たあとに各アルバムのライナーノーツを 改めて確認すると、思いがけない場所に彼らの名前を見つけることができる。
関連リンク
- ハブ記事:映画『イミディエイト・ファミリー』に登場する西海岸ロック名盤ガイド
- アーティスト記事:Jackson Browne
- アルバム記事:Running on Empty (1977)
- アルバム記事:The Pretender (1976)
- アルバム記事:Late for the Sky (1974)
※ パーソネル記載は各アルバムのオリジナル・クレジット(Wikipedia 等の参加メンバー情報)に基づきます。 誤りや表記揺れがあれば About ページの連絡先までご指摘ください。