ウエストコーストサウンド名盤10選 ── 最初に聴きたい代表作

ウエストコーストサウンド / ウエストコーストロックは、Eagles だけでも、フォークだけでも、カントリーロックだけでもない。 ロサンゼルス周辺のスタジオ、シンガーソングライター、ハーモニー、カントリー、R&B、少しのジャズ感が混ざった広い音楽圏である。 ここでは、初めて聴く人にもシーンの輪郭が見えやすい名盤10枚を、当サイト掲載アルバムから選ぶ。

ウエストコーストサウンドとは

一枚のレコードに共通する決まった音ではなく、1960年代末から70年代のアメリカ西海岸で交差した音楽を指す言葉として捉えると分かりやすい。 コーラスの美しいフォークロック、カントリーロック、内省的なシンガーソングライター作品、腕利きのセッションマンが作る洗練されたバンド・サウンドまで含まれる。

Eagles の乾いたハーモニーと、Joni Mitchell の静かな弾き語りはかなり違って聞こえる。 それでも、ロサンゼルス周辺の人脈、スタジオ、ソングライター、演奏家をたどると互いにつながっている。 この10枚は、その広がりを一方向に偏らず知るための入口である。

迷ったら最初の3枚

  1. Eagles『Eagles』 ── カントリーロックとコーラスの入口。
  2. Jackson Browne『Late for the Sky』 ── シンガーソングライターとしての深み。
  3. Linda Ronstadt『Heart Like a Wheel』 ── 歌とスタジオ演奏の強さ。

この3枚のうち好みに近い作品から、同じアーティストや周辺人物へ広げると聴き進めやすい。

代表的な10枚

  1. Eagles のアルバムジャケット
    Eagles Eagles / 1972

    カントリーロック、ハーモニー、乾いたギター。Eagles が最初から何を持っていたか分かるデビュー作。

  2. Desperado のアルバムジャケット
    Desperado Eagles / 1973

    アウトローの物語を借りて、70年代アメリカの孤独を描いたコンセプト作。歌詞世界の強さが前に出ている。

  3. Late for the Sky のアルバムジャケット

    別れ、時間、死を長い歌詞で描き、David Lindleyのスライドギターが歌の余白を埋める。

  4. Running on Empty のアルバムジャケット

    ツアーそのものをアルバムにしたロード作品。Immediate Family 周辺の演奏にもつながる。

  5. Heart Like a Wheel のアルバムジャケット

    「You’re No Good」のR&B、「When Will I Be Loved」のカントリー、表題曲のバラードを一枚で歌い分ける。

  6. Simple Dreams のアルバムジャケット

    Ronstadt の商業的ピーク。Waddy Wachtel 周辺のバンド感も聴きやすい。

  7. Harvest のアルバムジャケット

    「Heart of Gold」を含む代表作。フォーク/カントリー寄りの静かな西海岸ロックとして聴ける。

  8. Dixie Chicken のアルバムジャケット

    ニューオーリンズ風のリズムへ、Lowell GeorgeのスライドギターとBill Payneの鍵盤が絡む。

  9. Blue のアルバムジャケット

    ローレル・キャニオン期の内面性と、ジャズの語法を深く結びつけた一枚。

  10. Déjà Vu のアルバムジャケット

    四声のハーモニーにNeil Youngのギターを加え、「Woodstock」「Our House」「Helpless」を収録。

10枚を聴く順番

年代順に聴く必要はない。まずは『Eagles』『Late for the Sky』『Heart Like a Wheel』で、 ハーモニー、ソングライティング、ヴォーカルという3つの軸をつかむ。 次に『Déjà Vu』『Blue』『Harvest』へ戻ると、70年代初頭のフォークロックとローレル・キャニオンの流れが見えてくる。

その後に『Desperado』『Simple Dreams』『Running on Empty』を聴けば、曲順を設計した作品、歌手を支える録音チーム、ツアー・バンドという三つの作り方を比べられる。 最後に『Dixie Chicken』を置くと、ウエストコーストサウンドが整った音だけではなく、R&Bやニューオーリンズのグルーヴも吸収していたことが見えてくる。

作品同士のつながり

Eagles の デビュー作『Desperado』には、 カントリーロックとハーモニーの軸が見えてくる。 Jackson Browne の作品には、同じ西海岸でもより内省的なシンガーソングライターの世界がある。

歌の強さを味わいたいなら Linda Ronstadt。 定型に収まらないグルーヴを求めるなら Little Feat。 別れ、旅、娘への思いを声と少数の楽器で聴きたいなら Joni Mitchell。 Neil Young と CSNY は、フォークロックと西海岸ロックの境目にいる。

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※ 本記事は当サイト掲載済みアルバムから、シーンの見通しやすさを優先して選んだリストです。 「歴代ベスト」の断定ランキングではありません。