ウエストコーストサウンド名盤10選 ── 最初に聴きたい代表作
ウエストコーストサウンド / ウエストコーストロックは、Eagles だけでも、フォークだけでも、カントリーロックだけでもない。 ロサンゼルス周辺のスタジオ、シンガーソングライター、ハーモニー、カントリー、R&B、少しのジャズ感が混ざった広い音楽圏である。 ここでは、初めて聴く人にもシーンの輪郭が見えやすい名盤10枚を、当サイト掲載アルバムから選ぶ。
ウエストコーストサウンドとは
一枚のレコードに共通する決まった音ではなく、1960年代末から70年代のアメリカ西海岸で交差した音楽を指す言葉として捉えると分かりやすい。 コーラスの美しいフォークロック、カントリーロック、内省的なシンガーソングライター作品、腕利きのセッションマンが作る洗練されたバンド・サウンドまで含まれる。
Eagles の乾いたハーモニーと、Joni Mitchell の静かな弾き語りはかなり違って聞こえる。 それでも、ロサンゼルス周辺の人脈、スタジオ、ソングライター、演奏家をたどると互いにつながっている。 この10枚は、その広がりを一方向に偏らず知るための入口である。
迷ったら最初の3枚
- Eagles『Eagles』 ── カントリーロックとコーラスの入口。
- Jackson Browne『Late for the Sky』 ── シンガーソングライターとしての深み。
- Linda Ronstadt『Heart Like a Wheel』 ── 歌とスタジオ演奏の強さ。
この3枚のうち好みに近い作品から、同じアーティストや周辺人物へ広げると聴き進めやすい。
代表的な10枚
-
カントリーロック、ハーモニー、乾いたギター。Eagles が最初から何を持っていたか分かるデビュー作。
-
アウトローの物語を借りて、70年代アメリカの孤独を描いたコンセプト作。歌詞世界の強さが前に出ている。
-
西海岸ロックの内省的な側面を知るなら外せない一枚。David Lindley のスライドも重要。
-
ツアーそのものをアルバムにしたロード作品。Immediate Family 周辺の演奏にもつながる。
-
カントリー、ロック、ポップを横断する歌の強さ。70年代女性ヴォーカル作品として存在感が大きい。
-
Ronstadt の商業的ピーク。Waddy Wachtel 周辺のバンド感も聴きやすい。
-
「Heart of Gold」を含む代表作。フォーク/カントリー寄りの静かな西海岸ロックとして聴ける。
-
ニューオーリンズ風グルーヴとLowell George のねじれたセンス。少しクセのある名盤。
-
ローレル・キャニオン期の内面性を極限まで突き詰めた一枚。静かな名盤を求める人へ。
-
ハーモニー、政治性、Neil Young の加入。西海岸ロックとフォークロックの接点として重要。
10枚を聴く順番
年代順に聴く必要はない。まずは『Eagles』『Late for the Sky』『Heart Like a Wheel』で、 ハーモニー、ソングライティング、ヴォーカルという3つの軸をつかむ。 次に『Déjà Vu』『Blue』『Harvest』へ戻ると、70年代初頭のフォークロックとローレル・キャニオンの流れが見えてくる。
その後に『Desperado』『Simple Dreams』『Running on Empty』を聴けば、バンドとスタジオ・ミュージシャンの成熟が分かる。 最後に『Dixie Chicken』を置くと、ウエストコーストサウンドが整った音だけではなく、R&Bやニューオーリンズのグルーヴも吸収していたことが見えてくる。
作品同士のつながり
Eagles の デビュー作と 『Desperado』には、 カントリーロックとハーモニーの軸が見えてくる。 Jackson Browne の作品には、同じ西海岸でもより内省的なシンガーソングライターの世界がある。
歌の強さを味わいたいなら Linda Ronstadt。 少し変なグルーヴを求めるなら Little Feat。 静かで個人的な深みに入りたいなら Joni Mitchell。 Neil Young と CSNY は、フォークロックと西海岸ロックの境目にいる。
関連する特集
- CSN / CSNY 案内 ── 三声コーラスから『Déjà Vu』へ
- ニール・ヤング案内 ── 『After the Gold Rush』と『Harvest』をたどる
- Joni Mitchell『Court and Spark』案内 ── 『Blue』から『Hejira』へ向かう流れ
- Little Feat『Sailin' Shoes』案内 ── Lowell George の変な名盤
- 映画『イミディエイト・ファミリー』に登場する西海岸ロック名盤ガイド
- アルバム一覧を見る
※ 本記事は当サイト掲載済みアルバムから、シーンの見通しやすさを優先して選んだリストです。 「歴代ベスト」の断定ランキングではありません。