Eaglesの『One of These Nights』は、1975年に発表された4作目のスタジオ・アルバム。「One of These Nights」「Lyin’ Eyes」「Take It to the Limit」という性格の異なる3曲をヒットさせ、バンドで初めてBillboard 200の1位を獲得した。
一方で、カントリーロックを支えたBernie Leadonが参加した最後のアルバムでもある。初期の素朴な演奏を残しながら、R&B、都会的なバラード、長いインストゥルメンタルまで扱い、次作『Hotel California』へ進む直前の変化を一枚で聴ける。
まず押さえたい3点
- Eagles初の全米1位アルバムで、3曲の全米トップ10ヒットを収録
- Glenn Frey、Don Henley、Randy Meisnerの異なる歌声が前面に出る
- Bernie Leadon在籍最後の作品で、初期と後期の境目に当たる
なぜ聴く価値があるのか
本作の強みは、一つの作風に寄せず、メンバーごとの違いをアルバムの幅に変えていることだ。Don Henleyが歌うタイトル曲はR&Bの感触を持ち、Glenn Freyの「Lyin’ Eyes」はカントリーの物語を都会的に整え、Randy Meisnerの「Take It to the Limit」は高音のボーカルで大きな高揚を作る。
『On the Border』で強まったロック色も残るが、音はより滑らかで夜向きになった。荒々しさだけで押すのではなく、コーラス、リズム、曲順を精密に組み立てたことで、Eaglesがアルバム全体を設計できるバンドになったことが分かる。
初期Eaglesの終点となった理由
Bernie Leadonは「Journey of the Sorcerer」と「I Wish You Peace」で、カントリー、ブルーグラス、フォークを背景にした独自の色を残している。しかしバンドの中心は、Glenn FreyとDon Henleyが書く洗練されたロックへ移りつつあった。
本作後にLeadonが脱退し、Joe Walshが加入する。したがって『One of These Nights』は、初期4人の持ち味を聴ける最後の作品であり、『Hotel California』のギター中心の編成へ渡る橋でもある。
代表曲と聴きどころ
One of These Nights
Don Henleyがリードを取り、滑らかなベースと細かいリズムの上に、Don Felderの長いギター・ソロが重なる。カントリーロックのバンドという従来の印象を広げ、夜の緊張と色気をEaglesのコーラスで表した全米1位曲である。
Lyin’ Eyes
Glenn Freyが歌う長い物語曲。安定した暮らしと満たされない感情の間で揺れる人物を、説明しすぎず場面の連なりで描く。カントリーの語り口を保ちながら、演奏とコーラスは非常に整理されている。
Take It to the Limit
Randy Meisnerの代表曲。静かな導入からコーラスが段階的に広がり、最後は高音のリード・ボーカルが曲を押し上げる。HenleyとFrey以外のメンバーが主役になった、Eaglesの重要なヒット曲でもある。
Journey of the Sorcerer
Bernie Leadon作のインストゥルメンタル。バンジョーを中心にしながら、弦楽器を加えた大きな構成を持つ。ヒット曲とは別の方向で、初期Eaglesが持っていたカントリー音楽への深い理解を示す。
After the Thrill Is Gone
成功した後に残る疲れと空白を歌う、Glenn FreyとDon Henleyの共作。次作でさらに深く扱われる「成功の裏側」という題材が、ここですでに姿を見せている。
収録曲
- One of These Nights
- Too Many Hands
- Hollywood Waltz
- Journey of the Sorcerer
- Lyin' Eyes
- Take It to the Limit
- Visions
- After the Thrill Is Gone
- I Wish You Peace
一般的な評価
Billboard 200で1位を獲得し、Eaglesにとって初の全米1位アルバムとなった。シングルは「One of These Nights」が全米1位、「Lyin’ Eyes」が2位、「Take It to the Limit」が4位を記録。「Lyin’ Eyes」はバンドに最初のグラミー賞をもたらした。
『On the Border』『Hotel California』との違い
『On the Border』はプロデューサー交代とDon Felder加入によるロック化が主題だった。本作ではその変化を定着させ、ヒット曲の完成度とアルバムの統一感を高めている。
『Hotel California』ではJoe Walshの加入によりギターがさらに前へ出て、成功と喪失を扱う言葉も重くなる。初期のカントリーと後期のロックを両方聴きたいなら、その中間にある本作が最も分かりやすい。
どんな人におすすめか
- 「Lyin’ Eyes」の物語性と「One of These Nights」の都会的な音を両方聴きたい人
- Glenn Frey、Don Henley、Randy Meisnerの歌声の違いを知りたい人
- 『Hotel California』へ至る直前のEaglesを確認したい人
初めて聴くなら
最初に「One of These Nights」「Lyin’ Eyes」「Take It to the Limit」の3曲を聴くと、本作の幅がつかめる。その後「Journey of the Sorcerer」と「After the Thrill Is Gone」へ進めば、ヒット曲だけでは見えない初期の余韻と次作への予兆が分かる。
前後の変化を追うなら『On the Border』から本作、そして『Hotel California』の順で聴くとよい。70年代6作の位置づけはイーグルスの70年代アルバム案内にまとめている。
関連ページ
- アーティスト:Eagles
- アルバム:On the Border
- アルバム:Hotel California
- アルバム:Their Greatest Hits (1971–1975)
- 特集:Eaglesの70年代アルバム案内
参考資料
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