One of These Nights cover

One of These Nights

発売
1975年6月10日
レーベル
Asylum Records
プロデュース
Bill Szymczyk
ジャンル
Rock / West Coast Rock

Eaglesの『One of These Nights』は、1975年に発表された4作目のスタジオ・アルバム。「One of These Nights」「Lyin’ Eyes」「Take It to the Limit」という性格の異なる3曲をヒットさせ、バンドで初めてBillboard 200の1位を獲得した。

一方で、カントリーロックを支えたBernie Leadonが参加した最後のアルバムでもある。初期の素朴な演奏を残しながら、R&B、都会的なバラード、長いインストゥルメンタルまで扱い、次作『Hotel California』へ進む直前の変化を一枚で聴ける。

まず押さえたい3点

  • Eagles初の全米1位アルバムで、3曲の全米トップ10ヒットを収録
  • Glenn Frey、Don Henley、Randy Meisnerの異なる歌声が前面に出る
  • Bernie Leadon在籍最後の作品で、初期と後期の境目に当たる

なぜ聴く価値があるのか

本作の強みは、一つの作風に寄せず、メンバーごとの違いをアルバムの幅に変えていることだ。Don Henleyが歌うタイトル曲はR&Bの感触を持ち、Glenn Freyの「Lyin’ Eyes」はカントリーの物語を都会的に整え、Randy Meisnerの「Take It to the Limit」は高音のボーカルで大きな高揚を作る。

『On the Border』で強まったロック色も残るが、音はより滑らかで夜向きになった。荒々しさだけで押すのではなく、コーラス、リズム、曲順を精密に組み立てたことで、Eaglesがアルバム全体を設計できるバンドになったことが分かる。

初期Eaglesの終点となった理由

Bernie Leadonは「Journey of the Sorcerer」と「I Wish You Peace」で、カントリー、ブルーグラス、フォークを背景にした独自の色を残している。しかしバンドの中心は、Glenn FreyとDon Henleyが書く洗練されたロックへ移りつつあった。

本作後にLeadonが脱退し、Joe Walshが加入する。したがって『One of These Nights』は、初期4人の持ち味を聴ける最後の作品であり、『Hotel California』のギター中心の編成へ渡る橋でもある。

代表曲と聴きどころ

One of These Nights

Don Henleyがリードを取り、滑らかなベースと細かいリズムの上に、Don Felderの長いギター・ソロが重なる。カントリーロックのバンドという従来の印象を広げ、夜の緊張と色気をEaglesのコーラスで表した全米1位曲である。

Lyin’ Eyes

Glenn Freyが歌う長い物語曲。安定した暮らしと満たされない感情の間で揺れる人物を、説明しすぎず場面の連なりで描く。カントリーの語り口を保ちながら、演奏とコーラスは非常に整理されている。

Take It to the Limit

Randy Meisnerの代表曲。静かな導入からコーラスが段階的に広がり、最後は高音のリード・ボーカルが曲を押し上げる。HenleyとFrey以外のメンバーが主役になった、Eaglesの重要なヒット曲でもある。

Journey of the Sorcerer

Bernie Leadon作のインストゥルメンタル。バンジョーを中心にしながら、弦楽器を加えた大きな構成を持つ。ヒット曲とは別の方向で、初期Eaglesが持っていたカントリー音楽への深い理解を示す。

After the Thrill Is Gone

成功した後に残る疲れと空白を歌う、Glenn FreyとDon Henleyの共作。次作でさらに深く扱われる「成功の裏側」という題材が、ここですでに姿を見せている。

収録曲

  1. One of These Nights
  2. Too Many Hands
  3. Hollywood Waltz
  4. Journey of the Sorcerer
  5. Lyin' Eyes
  6. Take It to the Limit
  7. Visions
  8. After the Thrill Is Gone
  9. I Wish You Peace

一般的な評価

Billboard 200で1位を獲得し、Eaglesにとって初の全米1位アルバムとなった。シングルは「One of These Nights」が全米1位、「Lyin’ Eyes」が2位、「Take It to the Limit」が4位を記録。「Lyin’ Eyes」はバンドに最初のグラミー賞をもたらした。

『On the Border』『Hotel California』との違い

『On the Border』はプロデューサー交代とDon Felder加入によるロック化が主題だった。本作ではその変化を定着させ、ヒット曲の完成度とアルバムの統一感を高めている。

『Hotel California』ではJoe Walshの加入によりギターがさらに前へ出て、成功と喪失を扱う言葉も重くなる。初期のカントリーと後期のロックを両方聴きたいなら、その中間にある本作が最も分かりやすい。

どんな人におすすめか

  • 「Lyin’ Eyes」の物語性と「One of These Nights」の都会的な音を両方聴きたい人
  • Glenn Frey、Don Henley、Randy Meisnerの歌声の違いを知りたい人
  • 『Hotel California』へ至る直前のEaglesを確認したい人

初めて聴くなら

最初に「One of These Nights」「Lyin’ Eyes」「Take It to the Limit」の3曲を聴くと、本作の幅がつかめる。その後「Journey of the Sorcerer」と「After the Thrill Is Gone」へ進めば、ヒット曲だけでは見えない初期の余韻と次作への予兆が分かる。

前後の変化を追うなら『On the Border』から本作、そして『Hotel California』の順で聴くとよい。70年代6作の位置づけはイーグルスの70年代アルバム案内にまとめている。

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参考資料

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