1994年に発表されたEaglesの再結成作。1980年の活動停止から長い空白を経て、Glenn Frey、Don Henley、Don Felder、Joe Walsh、Timothy B. Schmitの5人が再び集まり、新曲4曲とライブ演奏11曲を一枚にまとめた。
タイトルは、Don Henleyが再結成の可能性を否定するために使った「地獄が凍りついたら」という言葉を逆手に取ったもの。70年代のEaglesをそのまま再現するのではなく、落ち着いたテンポ、精密な演奏、厚いコーラスによって、90年代のライブ・バンドとして再提示した作品である。
まず押さえたい3点
- 1980年の活動停止後、主要メンバー5人が復帰した再結成作
- 冒頭4曲は新録スタジオ曲、残る11曲はMTV用に収録したライブ演奏
- フラメンコ風の長い導入を加えた「Hotel California」が最大の聴きどころ
なぜ聴く価値があるのか
再結成の話題性だけでなく、70年代の曲を別の角度から聴けることに価値がある。特に「Hotel California」はアコースティック・ギターを中心に組み替え、Don FelderとJoe Walshの掛け合いを新しい編曲で聞かせる。原曲を壊さず、同じバンドが年月を経て演奏し直す意味を作った。
「Tequila Sunrise」「Wasted Time」「The Last Resort」では、若い時代の切迫感よりも、声と楽器の安定感が前へ出る。Eaglesが過去の曲を保存するだけでなく、大規模な会場で再現できるコンサート音楽へ変えたことが分かる。
新曲4曲が示した再出発
冒頭の「Get Over It」「Love Will Keep Us Alive」「The Girl from Yesterday」「Learn to Be Still」は新曲である。70年代の続編を一つの音にまとめるのではなく、メンバーごとの方向を見せる構成になっている。
HenleyとFreyが書いた「Get Over It」は硬いロック、Timothy B. Schmitが歌う「Love Will Keep Us Alive」は滑らかなバラード。Freyの「The Girl from Yesterday」にはカントリーの感触があり、Henleyの「Learn to Be Still」は再出発にふさわしい落ち着きを持つ。
代表曲と聴きどころ
Get Over It
再結成後最初の新曲として、Don HenleyとGlenn Freyが共作。ギターを前面に出した直接的なロックで、懐かしさだけを売りにしない姿勢を示す。
Love Will Keep Us Alive
Timothy B. Schmitがリードを取るバラード。高音のボーカルと柔らかなコーラスが、『The Long Run』の「I Can’t Tell You Why」から続くSchmitの役割を再確認させる。
Hotel California
打楽器と複数のアコースティック・ギターによる長い導入を加え、原曲とは異なる緊張を作る。Don FelderとJoe Walshによる終盤のハーモニーは残しつつ、音色を変えることで再演の意味を持たせた。
New York Minute
Don Henleyのソロ曲をEaglesの編成で演奏。再結成が70年代のカタログだけに閉じず、空白期間に各人が作った音楽も含むことを示している。
Desperado
ライブ盤の最後を飾る。若いバンドの物語だった曲が、長い空白を経て再び集まったメンバーによって歌われることで、原曲とは違う重みを持つ。
収録曲
- Get Over It
- Love Will Keep Us Alive
- The Girl from Yesterday
- Learn to Be Still
- Tequila Sunrise
- Hotel California
- Wasted Time
- Pretty Maids All in a Row
- I Can't Tell You Why
- New York Minute
- The Last Resort
- Take It Easy
- In the City
- Life in the Fast Lane
- Desperado
再結成作としての位置づけ
70年代の Eagles を新しく作り直した作品というより、すでにクラシックになっていた楽曲を、再結成後のバンドがライブでどう鳴らしたかを確認する盤である。冒頭の新曲「Get Over It」、Timothy B. Schmit が歌う「Love Will Keep Us Alive」、アコースティック寄りに組み替えられた「Hotel California」が、再結成後の入口になっている。
このサイトでは、Eagles の本編は70年代のアルバム群に置きつつ、本作はその後日談として扱う。バンドが西海岸ロックの記憶を、90年代以降のコンサート文化へ持ち込んだ作品と見ると位置づけやすい。
70年代のライブとは何が違うか
70年代の演奏には速度と荒さがあり、メンバーが入れ替わりながら音を拡大していく緊張があった。本作ではテンポを抑え、コーラスと各楽器を分離して聞かせる。勢いよりも再現性と音の精度を重視した90年代のEaglesである。
その違いを否定的に見る必要はない。原曲の若さを聴くなら70年代のスタジオ盤、成熟した演奏と再編曲を聴くなら本作と、目的が分かれている。
どんな人におすすめか
- アコースティック版「Hotel California」をアルバムの流れで聴きたい人
- Timothy B. Schmitを含む再結成時の5人編成を知りたい人
- 70年代の代表曲が90年代にどう演奏されたか比べたい人
初めて聴くなら
新曲では「Get Over It」「Love Will Keep Us Alive」、ライブでは「Hotel California」「I Can’t Tell You Why」「Desperado」を先に聴くとよい。その後、原曲を収録した『Hotel California』『The Long Run』『Desperado』へ戻ると、編曲と声の変化がよく分かる。
関連ページ
- アーティスト:Eagles
- アルバム:Hotel California
- アルバム:The Long Run
- アルバム:Long Road Out of Eden
- 特集:Eaglesの70年代アルバム案内
参考資料
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