Long Road Out of Eden cover

Long Road Out of Eden

発売
2007年10月30日
レーベル
Eagles Recording Company II
プロデュース
Eagles
ジャンル
Rock / Pop Rock

2007年に発表されたEaglesのスタジオ・アルバム。1979年の『The Long Run』以来、28年ぶりの新作として登場した。再結成後はライブ活動が中心だったが、本作では全20曲を収め、バンドとして新しい作品を作る意思を示した。

2枚組に近い長さを持つ作品で、カントリー、ポップ、ロック、社会的な視点を含む曲が並ぶ。70年代の濃密さをそのまま再現するというより、Eagles という名前が2000年代にどういう音楽として続きうるかを示したアルバムといえる。

まず押さえたい3点

  • 『The Long Run』以来28年ぶり、再結成後では唯一のスタジオ・アルバム
  • Glenn Frey、Don Henley、Joe Walsh、Timothy B. Schmitの4人が曲と歌を分担
  • 初期から演奏していたJ.D. Souther作「How Long」と、長編タイトル曲が過去と現在をつなぐ

なぜ聴く価値があるのか

70年代の代表作と同じ緊張感を求めると長く感じるが、4人が長い活動歴の後で何を歌うかに注目すると見え方が変わる。関係のすれ違い、失われる風景、戦争や消費への視線、老いと別れが、穏やかな曲と重いロックの両方で扱われている。

20曲という長さも本作の性格である。一つの物語へ絞るのではなく、各メンバーの持ち味を持ち寄った。Glenn Freyの端正なポップ、Don Henleyの社会的な歌、Joe Walshのギター、Timothy B. Schmitの柔らかな高音を順に聴ける。

70年代とのつながり

「How Long」はJ.D. Southerが1972年に発表した曲で、Eaglesも結成初期から演奏していた。28年ぶりの新作でこの曲を取り上げたことで、再結成後のアルバムはデビュー期の人脈と音へつながった。

一方、タイトル曲「Long Road Out of Eden」は約10分に及ぶ重い作品で、単なる原点回帰ではない。初期の旅や自由のイメージを、豊かさの代償や終わりの見えない争いへ反転させる。過去の音を再現する曲と、現在を批評する曲が同じ盤にある。

代表曲と聴きどころ

How Long

Glenn FreyとDon Henleyがリードを分け合い、ギターとコーラスを軽快に重ねる。初期Eaglesのカントリーロックを、再結成後の安定した演奏で鳴らした曲。グラミー賞の最優秀カントリー・パフォーマンス(デュオ/グループ)を受賞した。

Busy Being Fabulous

Don Henleyが歌う、忙しさによって関係を失っていく人物の歌。明るく聞きやすい演奏と、距離の広がる歌詞の対比がEaglesらしい。

Waiting in the Weeds

Henleyの抑えた歌からコーラスが広がる長めのバラード。派手な展開より、季節と時間の比喩を積み重ねる。再結成後のEaglesが持つ成熟した面を聴くなら外せない。

No More Cloudy Days

Glenn Frey作の明快なポップソング。重い題材の多いアルバムの中で、短い構成と親しみやすいメロディが息抜きになる。

Long Road Out of Eden

Don Henley、Glenn Frey、Timothy B. Schmitの共作による長編曲。静かな導入からギターを含む大きな展開へ進み、アルバムの社会的な視点を集約する。全20曲の中心に置かれた、本作の主題を最も強く示す曲である。

It’s Your World Now

アルバムを閉じるGlenn Freyの曲。マリアッチ風の管楽器を使い、次の世代へ言葉を渡すように終わる。結果的にFreyが参加した最後のEaglesスタジオ・アルバムの結びとしても重く響く。

収録曲

  1. No More Walks in the Wood
  2. How Long
  3. Busy Being Fabulous
  4. What Do I Do with My Heart
  5. Guilty of the Crime
  6. I Don't Want to Hear Any More
  7. Waiting in the Weeds
  8. No More Cloudy Days
  9. Fast Company
  10. Do Something
  11. You Are Not Alone
  12. Long Road Out of Eden
  13. I Dreamed There Was No War
  14. Somebody
  15. Frail Grasp on the Big Picture
  16. Last Good Time in Town
  17. I Love to Watch a Woman Dance
  18. Business as Usual
  19. Center of the Universe
  20. It's Your World Now

28年ぶりの新作としての位置づけ

「How Long」は J.D. Souther が書いた曲で、Eagles が初期から演奏していた素材でもある。その意味で本作は、完全な新章というより、過去の人脈と記憶を再結成後のバンドに戻す性格も持っている。

一方で、アルバム全体は70年代の代表作ほど鋭く一点に絞られてはいない。だからこそ、このサイトでは『Hotel California』や『The Long Run』と同じ重さではなく、再結成後の大きな補足として置く。Eagles が懐古だけで終わらず、新作としてもう一度バンド名を更新しようとした記録である。

『Hell Freezes Over』との違い

『Hell Freezes Over』は再結成そのものを記録した作品で、新曲は4曲、中心は70年代曲のライブ演奏だった。本作は20曲すべてを新しいスタジオ・アルバムとして並べ、再結成を一時的な出来事ではなく継続するバンドへ変えた。

代表曲を別の編曲で聴きたいなら『Hell Freezes Over』、2000年代のEaglesが新しく書いた曲を知りたいなら本作が向く。

どんな人におすすめか

  • 70年代だけでなく、再結成後のEaglesまで追いたい人
  • 「How Long」の初期的な響きと、タイトル曲の重い視点を比べたい人
  • Glenn Freyが参加した最後のスタジオ作を作品単位で聴きたい人

初めて聴くなら

最初は「How Long」「Busy Being Fabulous」「Waiting in the Weeds」で聞きやすい側をつかみ、次に「Long Road Out of Eden」へ進む。最後に「It’s Your World Now」を聴けば、本作の原点回帰、現在への視線、別れという三つの軸が見える。

20曲を一度に聴く必要はない。前半と後半に分け、各メンバーのリード曲を拾いながら聴く方が作品の幅を理解しやすい。

関連ページ

参考資料

最終更新: