The Doobie Brothersの『Toulouse Street』は、1972年7月に発表された2作目のスタジオ・アルバム。前作から編成を組み直し、Tiran Porter(タイラン・ポーター)がベース、Michael Hossack(マイケル・ホサック)が二人目のドラマーとして加わった。
「Listen to the Music」が最初の大きなヒットとなっただけでなく、Tom Johnston(トム・ジョンストン)の力強いrockと、Patrick Simmons(パトリック・シモンズ)のfolk、country寄りの曲が一枚の中で役割を分けた。次作『The Captain and Me』で広く知られる前期の音は、本作で基本形ができている。
まず押さえたい3点
- 作品の特徴: 二人のドラマー、二人の書き手、複数のコーラスを組み合わせ、前期Doobie Brothersの編成と音を確立した。
- まず聴く3曲: 開放的な「Listen to the Music」、走るリズムの「Rockin’ Down the Highway」、静かな表題曲「Toulouse Street」。
- おすすめする人: 「Long Train Runnin’」以前の出発点と、豪快さだけではないバンドの幅を知りたい人。
5人編成でバンドの輪郭が定まった
John Hartman(ジョン・ハートマン)とMichael Hossackによるツインドラムは、同じbeatを単純に二倍にするための編成ではない。二人の打音が厚い土台を作り、その上でguitarとchorusが動く。「Listen to the Music」では軽く弾む感触を保ち、「Rockin’ Down the Highway」では前へ進む力を強める。
加入したTiran Porterのbassは、二人のdrumsの間を低音でつなぎ、Tom Johnstonの刻むguitarだけに推進力を任せない。Ted Templeman(テッド・テンプルマン)の制作によって、演奏の勢いを残しながら各partが聞き分けられる形に整理された。
この編成は、San Jose周辺のbar bandらしい直接性を、albumで繰り返し聴ける音へ変えた。前作の荒さを捨てたのではなく、曲ごとに強弱をつけられるbandへ更新した作品である。
JohnstonのrockとSimmonsの静けさ
Tom Johnstonは「Listen to the Music」「Rockin’ Down the Highway」などを書き、短いguitar figureと太い声で曲を進める。一方、Patrick Simmonsの「Mamaloi」と「Toulouse Street」はacoustic guitarやpercussionを使い、速度と手触りを変える。
この対照があるため、albumはboogie一色にならない。「Jesus Is Just Alright」では複数のlead voiceを使い、gospel由来の曲をrock bandのchorusへ置き換える。Johnstonが前へ押し、Simmonsが余白と別の色を加える関係は、その後の作品でも続く。
前期Doobie Brothersを一人の中心人物だけで説明すると、この幅を取りこぼす。本作は、異なる歌い手と曲調がツインドラムの上で同居するbandだったことを最も簡潔に示している。
代表曲と聴きどころ
Listen to the Music
Tom Johnston作。acoustic guitarの刻みから始まり、bass、drums、chorusが段階的に加わる。大勢で音楽を共有するという内容を、複数の声が実際に重なるarrangementで示した。
全米11位となり、バンド最初のTop 40 hitになった。明るい曲だが演奏は軽すぎず、ツインドラムとPorterのbassが下から支えている。
Rockin’ Down the Highway
Johnston作のroad song。細かく刻むguitarとdrumsが止まらず、chorusに入っても速度感を保つ。後の「Long Train Runnin’」や「China Grove」へ続く前期のguitar rockを、短い曲の中で確認できる。
車やroadを題材にした雰囲気だけでなく、反復するrhythmそのものが移動感を作っている。albumの勢いを知るなら「Listen to the Music」と続けて聴きたい。
Toulouse Street
Patrick Simmons作。表題曲でありながらhit向けの派手な展開を避け、acoustic guitar、控えめなpercussion、重なる声を中心に置く。
題名はNew OrleansのFrench Quarterにある通りに由来する。album jacketの室内と結びつき、賑やかなroad songの間に、夜の部屋へ戻るような速度差を作る。
Jesus Is Just Alright
Arthur Reynolds(アーサー・レイノルズ)が書き、The Byrdsも録音したgospel song。Doobie Brothers版ではguitar riff、厚いchorus、途中でtempo感が変わる構成を使い、全米35位を記録した。
宗教曲を静かな賛美歌として扱わず、band全体の声とrhythmを聴かせる曲にした。Simmonsの歌と、Johnston中心のrockが交わる録音でもある。
Mamaloi
Patrick Simmons作。percussionと緩いrhythmを使い、album前半の速度をいったん下げる。「Rockin’ Down the Highway」と表題曲の間に置かれ、曲調の切り替えを滑らかにする。
大ヒット曲だけでは見えにくい、bandのR&BやCaribbean rhythmへの関心が聞こえる。後期のsoul志向とは異なる形だが、初期からrock以外の要素を取り込んでいたことが分かる。
収録曲
- Listen to the Music
- Rockin' Down the Highway
- Mamaloi
- Toulouse Street
- Cotton Mouth
- Don't Start Me to Talkin'
- Jesus Is Just Alright
- White Sun
- Disciple
- Snake Man
一般的な評価
albumはBillboard 200で21位を記録した。「Listen to the Music」は全米11位、「Jesus Is Just Alright」は35位となり、デビュー作では届かなかった広い聴衆を獲得した。
後の代表作より曲と演奏に粗さは残るが、それが欠点だけにはなっていない。ツインドラム、JohnstonとSimmons、chorusという基本要素が、完成しすぎる前の近さで聞こえる。出世作であると同時に、バンドの設計図が音になった一枚である。
ジャケットについて
茶色い枠の中に、赤い壁の室内でくつろぐ5人を配置する。撮影場所はNew OrleansのToulouse Streetにあった旧娼館。長髪と普段着のメンバー、椅子、丸い鏡、白い敷物を暖色の写真でまとめ、上部には古い看板を思わせる書体でalbum名とband名を置いている。
演奏中の写真やroadの風景ではなく、一つの部屋に集まったbandを見せる構図である。豪快な曲だけでなく、表題曲の静けさや複数の人物が同居するalbumの性格を、集合写真として伝えている。
どんな人におすすめか
- 前期Doobie Brothersを代表曲だけでなくalbum単位で知りたい人
- guitar rockとacousticな曲を一枚で聴き比べたい人
- twin drumsとchorusがbandの音をどう厚くするか確かめたい人
- 『The Captain and Me』へ至る変化を順番に追いたい人
初めて聴くなら
まず「Listen to the Music」と「Rockin’ Down the Highway」でJohnston側の推進力を聴く。次に表題曲でSimmons側の静けさへ移り、「Jesus Is Just Alright」で二つの方向が同じbandの音になるところを確認する。
次は『The Captain and Me』へ進むと、guitar riffとツインドラムがさらに強く整理された完成形を聴ける。その先は『What Were Once Vices Are Now Habits』で、歌い手と曲調が増えていく流れにつながる。
関連ページ
- アーティスト: The Doobie Brothers
- アルバム: The Captain and Me
- アルバム: What Were Once Vices Are Now Habits
- アルバム: Minute by Minute
- 特集: ウエストコーストサウンド名盤10選
参考資料
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