Stampede cover

Stampede

発売
1975年4月25日
レーベル
Warner Bros. Records
プロデュース
Ted Templeman
ジャンル
Rock / Country Rock / Soul

『Stampede』は、The Doobie Brothers(ザ・ドゥービー・ブラザーズ)が1975年に発表した5作目のスタジオアルバムである。Jeff “Skunk” Baxter(ジェフ・“スカンク”・バクスター)が正式メンバーとなり、Tom Johnston(トム・ジョンストン)、Patrick Simmons(パトリック・シモンズ)との三本のギターが編成の中心に置かれた。

前作『What Were Once Vices Are Now Habits』の「Black Water」が全米1位となった直後の作品で、アルバムはBillboard 200で4位を記録し、ゴールドディスクを獲得した。一方で、Johnstonは同年のツアー中に体調を崩す。次作『Takin’ It to the Streets』でMichael McDonald(マイケル・マクドナルド)が加わる前、初期から続くギター中心の編成を記録した最後の一枚でもある。

まず押さえたい3点

  • 三本のギターが曲ごとに役割を変える ── Johnstonのリフ、Simmonsのacoustic/country、Baxterのpedal steelとlead guitarが重なる。
  • Motown、country、bluesを一枚に収めた ── 「Take Me in Your Arms」を除く10曲はオリジナルで、外部演奏家とhorns/stringsも加わる。
  • 前期の完成形であり転換直前の作品 ── Johnstonが中心人物として全編に参加した最後のスタジオ作で、次作からMcDonald期へ移る。

Jeff Baxter加入で三本のギター編成へ

Baxterは前作の録音にも参加していたが、本作では正式メンバーとしてクレジットされた。Johnstonが反復するelectric guitarのリフと力強い歌を担い、Simmonsがacoustic guitarやfingerpickingを持ち込み、Baxterがlead guitar、pedal steel、編曲面を補う。

ただし三本が常に同じ音を厚くするわけではない。「Sweet Maxine」ではelectric guitarとhornsを前へ出し、「Neal’s Fandango」ではacoustic guitarとpedal steelの比重を上げる。John Hartman(ジョン・ハートマン)とKeith Knudsen(キース・ヌードセン)のツインドラムを土台に、曲ごとにギターの組み合わせを変えている。

Motown、country、bluesを曲ごとに切り替える

「Take Me in Your Arms (Rock Me a Little While)」は、Holland–Dozier–Hollandが書いたMotown楽曲のカバーである。太いbackbeatとhornsにBaxterのギターソロを重ね、Doobie Brothersの演奏へ置き換えた。本作でカバー曲はこれだけで、残る10曲はメンバーが書いている。

Bill Payne(ビル・ペイン)がkeyboards、Ry Cooder(ライ・クーダー)がslide guitar、Bobbye Hall(ボビー・ホール)がpercussionで参加した。「I Cheat the Hangman」ではstringsとhornsまで使い、boogie一辺倒ではない編曲を示す。曲調の幅は広いが、ツインドラムと複数の歌声がアルバムを一つにまとめている。

代表曲と聴きどころ

Sweet Maxine

JohnstonとKnudsenの共作。短いギターの応答、horns、ツインドラムが一斉に曲を押し進める。アルバム冒頭で、Baxter加入後の編成を最も直接的に示す曲である。

Take Me in Your Arms (Rock Me a Little While)

Motownで生まれた曲を、Johnstonのリードボーカルとrock bandの演奏で取り上げた。原曲の明快な旋律を残しながら、ギターソロと二人のドラマーで音圧を加えている。

I Cheat the Hangman

Simmonsが書いた6分を超える曲。静かな歌い出しから、Maria Muldaur(マリア・マルダー)のbacking vocal、strings、hornsを伴う後半へ拡大する。Johnston型のboogieとは異なる書き方が、同じアルバムに共存している。

Neal’s Fandango

Simmons作。acoustic guitar、pedal steel、keyboardsを組み合わせたcountry rockで、Baxterの加入が速いelectric guitarの曲だけに作用したのではないことが分かる。

Rainy Day Crossroad Blues

Johnston作のbluesで、Ry Cooderがslide guitarで参加した。外部演奏家を名前だけで呼ぶのではなく、その奏法を曲の中心に置いた一曲である。

収録曲

  1. Sweet Maxine
  2. Neal's Fandango
  3. Texas Lullaby
  4. Music Man
  5. Slack Key Soquel Rag
  6. Take Me in Your Arms (Rock Me a Little While)
  7. I Cheat the Hangman
  8. Précis
  9. Rainy Day Crossroad Blues
  10. I Been Workin' on You
  11. Double Dealin' Four Flusher

ジャケットについて

西部劇の一場面のように、馬に乗った一団が土煙の中を進む写真を使っている。Stampedeは家畜の群れが一斉に走り出すことを指す言葉で、画面の人物と馬がその題名をそのまま視覚化している。

countryやbluesを含む本作には合うが、内容は素朴な西部劇趣味だけではない。horns、strings、Motownカバーまで入った音を聴くと、ジャケットの古いアメリカ像と、編曲を広げていくバンドの対照も見えてくる。

前期の到達点と次作への転換

『Stampede』はBillboard 200で4位に達し、「Take Me in Your Arms」と「Sweet Maxine」がシングルとしてTop 40入りした。売上の面でも前作の成功を引き継いでおり、前期Doobie Brothersが失速して終わった作品ではない。

しかしJohnstonはツアー中に体調を崩し、Steely Danの録音やツアーに参加していたMichael McDonaldが代役として加わった。次作『Takin’ It to the Streets』ではkeyboards、soul、R&Bの比重が増える。そのため本作は、前期の完成形であると同時に、編成変更の直前を記録した作品と位置づけられる。

どんな人におすすめか

  • 「China Grove」「Long Train Runnin’」に続くギター中心のDoobiesを聴きたい
  • Jeff Baxter加入後の三本のギターを曲ごとに聴き分けたい
  • rock、country、Motown、bluesが同居するアルバムを探している
  • Michael McDonald加入前後の変化をアルバム単位で比べたい

初めて聴くなら

まず「Sweet Maxine」で三本のギターとツインドラムを確認し、続いて「Take Me in Your Arms」でMotown曲の置き換え方を聴く。最後に「I Cheat the Hangman」へ進むと、短いboogieだけではない本作の編曲が分かる。

前へ戻るなら『What Were Once Vices Are Now Habits』、次へ進むなら『Takin’ It to the Streets』を聴く。同じバンドが、ギター中心の編成からkeyboardsとR&Bを軸にした編成へ移る境目がつかみやすい。

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参考資料

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