The Souther-Hillman-Furay Band cover

The Souther-Hillman-Furay Band

発売
1974年
レーベル
Asylum Records
プロデュース
Richard Podolor
ジャンル
Country Rock / Soft Rock

『The Souther-Hillman-Furay Band』は、J.D. Souther(J.D.サウザー)、Chris Hillman(クリス・ヒルマン)、Richie Furay(リッチー・フューレイ)が1974年に発表したデビューアルバムである。David Geffen(デヴィッド・ゲフィン)の提案で結成され、Asylum Recordsから発売された。

三人は同じ経歴を持つわけではない。Southerはロサンゼルスのsongwriter、HillmanはThe ByrdsThe Flying Burrito Brothers、Manassas、FurayはBuffalo SpringfieldPocoを経ていた。本作では三人が共同で一つの作風を作るより、それぞれの自作曲と歌声を一枚に並べている。

まず押さえたい3点

  • J.D. Souther、Chris Hillman、Richie Furayが自作曲を分担 ── 三人の経歴と曲調の違いが、そのまま曲順に現れる。
  • 「Fallin’ in Love」が全米27位 ── アルバムも50万枚を売り、ゴールドディスクに認定された。
  • 演奏陣にもLAの人脈が集まった ── Paul Harris、Al Perkins、Jim Gordonが固定メンバーとして三人を支えた。

三人の曲が交代するアルバム

1曲目「Fallin’ in Love」はFuray作で、Pocoから続く明るいcountry rockと高いリードボーカルが前へ出る。Furayはほかに「Believe Me」「The Flight of the Dove」を書き、三人の中で最も親しみやすい旋律を担当した。

Hillmanの「Heavenly Fire」「Safe at Home」「Rise and Fall」では、bluegrassとBakersfield countryに近い演奏が聞ける。bassとmandolinも担当し、The ByrdsやThe Flying Burrito Brothersから続くcountry側の軸を作った。

Southerは「The Heartbreaker」「Border Town」「Pretty Goodbyes」「Deep, Dark and Dreamless」を書いた。明るい表題曲に対し、人間関係の行き違いや別れを扱う曲が多く、低い歌声と夜間を思わせる落ち着いた編曲が並ぶ。

Paul Harris、Al Perkins、Jim Gordonが支えた

三人の曲を同じバンドの演奏にしたのが、Paul Harrisのkeyboards、Al Perkinsのpedal steel guitar、Jim Gordonのdrumsである。Joe Lalaも「Border Town」と「Rise and Fall」にpercussionで参加した。

HarrisとPerkinsはHillmanとManassasで活動しており、互いの演奏を知っていた。Perkinsのpedal steelがcountryの輪郭を作り、HarrisのpianoとorganがSoutherの曲にもFurayの曲にも入る。Gordonは軽快な曲と遅い曲で叩き方を変え、三人の異なる曲を一枚につないでいる。

代表曲と聴きどころ

Fallin’ in Love

Furayが書いたアルバム冒頭曲で、シングルはBillboard Hot 100で27位を記録した。acoustic guitar、pedal steel、三声のchorusを短い曲の中に収めている。三人の名前より先に、この曲でバンドを知った人も多い。

Heavenly Fire

Hillman作。速いcountry rhythmとmandolin、pedal steelを組み合わせる。The ByrdsからThe Flying Burrito Brothersへ続いたHillmanの演奏を、1974年の録音で確認できる曲である。

The Heartbreaker

Souther作。題名どおり、相手を傷つけながら関係を渡り歩く男を描く。Furayの明るい曲とは視点も歌い方も異なり、このグループが一人のsongwriterを中心にしていないことが分かる。

Believe Me

FurayがPocoの『Crazy Eyes』制作時に書いていた曲を本作で録音した。5分を超える長さで、静かな導入から複数の声と楽器を加えていく。「Fallin’ in Love」よりも、Furayの歌を長い構成で聴ける。

Border Town

Souther作。Joe Lalaのpercussionを加え、country rockだけではないrhythmを使う。Southerの抑えた歌と、Harrisのkeyboardsが中心に置かれている。

収録曲

  1. Fallin' in Love
  2. Heavenly Fire
  3. The Heartbreaker
  4. Believe Me
  5. Border Town
  6. Safe at Home
  7. Pretty Goodbyes
  8. Rise and Fall
  9. The Flight of the Dove
  10. Deep, Dark and Dreamless

ジャケットについて

ジャケットにはSouther、Hillman、Furayの顔が大きく並び、その上に三人の名字を星印で区切ったバンド名が置かれている。風景や物語を使わず、三人の組み合わせそのものを商品として示したデザインである。

ただし音楽を聴くと、三人が一つの人格にまとまった作品ではない。それぞれの声と曲が交代するため、ジャケットの密着した構図と、アルバム内に残る個性の違いを比べることができる。

成功作だが、評価が一枚岩ではない理由

本作は発表後に50万枚を売ってゴールドディスクとなり、「Fallin’ in Love」もTop 40入りした。商業的には、結成時の期待に応えた作品だった。

一方で、三人の曲を均等に配置したことは長所にも弱点にもなった。曲ごとの作者と歌声は追いやすいが、最初から最後まで一つの作風で統一されたアルバムではない。三人の経歴を知る入口として聴くか、一体感のあるバンド作品として聴くかで評価が変わる。

どんな人におすすめか

  • Eagles、Poco、The Byrds周辺の人脈を録音でたどりたい
  • 一枚の中で三人のsongwriterを聴き比べたい
  • pedal steelと三声chorusを使った1970年代のcountry rockが好き
  • J.D. SoutherがEaglesへ曲を書く一方で、どんな歌を自分で歌ったか知りたい

初めて聴くなら

まず「Fallin’ in Love」でFuray、「Heavenly Fire」でHillman、「The Heartbreaker」でSoutherを順番に聴く。最初の3曲だけで、三人の担当が切り替わる構成を確認できる。

その後「Believe Me」と「Border Town」へ進むと、support membersを含む長めの編曲が分かる。前史をたどるなら『Crazy Eyes』『The Gilded Palace of Sin』、Southerの後年へ進むなら『You’re Only Lonely』がつながる。

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参考資料

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