The Gilded Palace of Sin cover

The Gilded Palace of Sin

発売
1969年2月
レーベル
A&M Records
プロデュース
The Flying Burrito Brothers / Henry Lewy / Larry Marks
ジャンル
Country Rock

The Flying Burrito Brothersの『The Gilded Palace of Sin』は、1969年2月に発表されたデビュー・アルバム。The Byrdsを離れたGram Parsons(グラム・パーソンズ)とChris Hillman(クリス・ヒルマン)が、Sneaky Pete Kleinow(スニーキー・ピート・クレイナウ)、Chris Ethridge(クリス・エスリッジ)と制作した。

直前の『Sweetheart of the Rodeo』がNashvilleのcountryへ踏み込んだ作品なら、本作はその楽器と歌い方をLos Angelesへ持ち帰った作品である。都市の誘惑、失恋、宗教、労働者の怒りを、pedal steelとclose harmonyで歌う。古いcountryの再現ではなく、1969年の若者が抱える問題をcountryで表した。

まず押さえたい3点

  • 作品の特徴: countryの楽器にsoul、gospel、psychedelic rockを重ね、明るい演奏の中へ都市の孤独と退廃を入れた。
  • まず聴く3曲: Los Angelesを告発する「Sin City」、失恋をむき出しにする「Hot Burrito #1」、soulをcountryへ移した「Do Right Woman」。
  • おすすめする人: Eagles以前のcountry rockと、Gram Parsonsが語ったCosmic American Musicの実像を知りたい人。

『Sweetheart of the Rodeo』の先へ進んだ

Gram ParsonsとChris HillmanはThe Byrdsでcountry albumを作ったが、そこでは既存曲とNashvilleの演奏者が大きな役割を担った。本作では二人自身の共作曲が中心になり、countryを使って同時代のLos Angelesを描く段階へ進んだ。

「Sin City」は富と権力に引き寄せられる都市を歌い、「My Uncle」は徴兵を避けてCanadaへ向かう若者を扱う。「Hippie Boy」では1960年代末のcountercultureと宗教的な語り口が同じ曲に入る。西部の過去を歌うだけではなく、目の前の社会をcountry songへ置き換えている。

Parsonsが自分の音楽を説明するために使ったCosmic American Musicという考え方は、countryとrockの単純な中間を意味しない。folk、gospel、soul、R&Bまで、米国の音楽を一つの流れとして扱う。本作の選曲と演奏は、その考えをalbum一枚で確認できる。

Sneaky Peteのpedal steelが景色を変える

Sneaky Pete Kleinowのpedal steelは、traditional countryの滑らかな伴奏だけに徹しない。音を曲げ、時にfuzzを通したelectric guitarのような響きを作り、歌の背後へ不安定な線を引く。

Chris Ethridgeのbassはsoulに近い重さを加え、ParsonsとHillmanの声は高低の差を残して重なる。「Do Right Woman」と「Dark End of the Street」というDan Penn(ダン・ペン)とChips Moman(チップス・モーマン)系のsoul songが、他のcountry曲から浮かないのはこの編成による。

演奏は派手に速くないが、pedal steel、bass、piano、声の間に常に動きがある。後の整ったWest Coast soundと比べると荒さが残り、その不安定さが歌詞の人物に合っている。

代表曲と聴きどころ

Christine’s Tune

Gram ParsonsとChris Hillmanの共作。後に「Devil in Disguise」とも呼ばれた曲で、危険な相手を警戒する言葉を軽快なtempoで歌う。

明るいcountry rockとして始まりながら、内容には疑いと悪意がある。本作が陽気な演奏だけのalbumではないことを、冒頭から示す。

Sin City

ParsonsとHillmanの共作。高層の建物、権力、金、破滅を宗教的な言葉で描き、Los Angelesの音楽業界を含む都市の誘惑を歌う。

二人の声とpedal steelが、説教のような厳しさと美しい旋律を同時に作る。countryの演奏でLos Angelesの欲望と孤独を歌う本作の方向が、一曲に凝縮されている。

Do Right Woman

Aretha Franklinで知られるsoul songを、tempoを落としたcountry arrangementで録音した。Parsonsの歌を中心に、pedal steelとharmonyが言葉の間を埋める。

soulをcountry風に飾っただけではなく、どちらにもある教会音楽の感触を表へ出す。Cosmic American Musicが複数の様式をどう結ぶか分かりやすい例である。

Hot Burrito #1

Gram ParsonsとChris Ethridgeの共作。去った相手に執着する人物を、piano、organ、pedal steelの間でParsonsが歌う。題名の軽さに反して、感情は本作で最も直接的である。

声が整いすぎず、言葉へ追いつこうとする揺れが残る。Elvis Costelloが後に「I’m Your Toy」として取り上げた曲でもある。

Hot Burrito #2

同じ二人の共作だが、#1より強いrhythmと歪んだpedal steelを使う。拒絶された人物の怒りと未練を、rockに近い圧力で表す。

Sneaky Peteの演奏がtraditional countryの範囲を越える瞬間を聴きやすい。#1と続けると、似た題材をballadとrockの二方向へ分けたことが分かる。

収録曲

  1. Christine's Tune
  2. Sin City
  3. Do Right Woman
  4. Dark End of the Street
  5. My Uncle
  6. Wheels
  7. Juanita
  8. Hot Burrito #1
  9. Hot Burrito #2
  10. Do You Know How It Feels
  11. Hippie Boy

一般的な評価

albumはBillboard 200で164位にとどまり、発売時に大きな商業的成功は得なかった。分かりやすいhit singleもなく、当時のrockとcountryのどちらの市場にも収まりにくかった。

しかし後続のmusiciansがcountryとrock、soulの接続を広げたことで、本作の位置が明確になった。Eaglesの洗練とは音が異なるが、その前にLos Angelesで何が試されていたかを示す基準作である。Americanaという言葉が一般化した後にも、起点の一つとして聴き直されている。

ジャケットについて

乾いた草地と古い小屋を背景に、4人がNudie Cohn(ヌーディ・コーン)製の刺繍入りsuitで立つ。小屋の入口には二人の女性が座り、pinkとblueの大きなband logoが田舎の風景へ重なる。

伝統的なwestern wearに見えるが、花、炎、孔雀などの刺繍と鮮やかな色使いは1960年代末のrockの感覚を持つ。古いcountryの衣装をそのまま着るのではなく、自分たちの人物像へ作り替えた。荒れた背景と華美な服の対比は、album名の「金ぴかの罪の宮殿」と音の関係を一枚で示している。

どんな人におすすめか

  • 『Sweetheart of the Rodeo』の次に何が起きたか知りたい人
  • Gram ParsonsとChris Hillmanの共作をまとめて聴きたい人
  • pedal steelを効果音ではなく主役として聴きたい人
  • country、soul、gospelが交わる初期のWest Coast rockを探している人

初めて聴くなら

まず「Sin City」で二人の声と都市を見る視点をつかむ。次に「Hot Burrito #1」「Hot Burrito #2」を続けて、Parsonsの歌とSneaky Peteのpedal steelの幅を聴く。最後に「Do Right Woman」へ進むと、countryとsoulを同じ流れで扱う理由が見える。

前へ戻るならThe Byrdsの『Sweetheart of the Rodeo』。同時期の別の答えとしてPoco『Pickin’ Up the Pieces』を聴くと、同じLos Angelesのcountry rockでも、暗さと明るさが大きく異なる。

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参考資料

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