Pocoの『Pickin’ Up the Pieces』は、1969年5月に発表されたデビュー・アルバム。Buffalo Springfield解散後、Richie Furay(リッチー・フューレイ)とJim Messina(ジム・メッシーナ)が中心となり、Rusty Young(ラスティ・ヤング)、George Grantham(ジョージ・グランサム)、Randy Meisner(ランディ・マイズナー)と録音した。
同年の『The Gilded Palace of Sin』が都市の退廃と失恋をcountryで歌ったのに対し、本作は速いensemble、明るいharmony、曲の切り替えで新しいbandの始まりを伝える。country rockの重要作という評価だけでなく、演奏の快活さをそのまま楽しめる一枚である。
まず押さえたい3点
- 作品の特徴: pedal steelをguitarやchorusと同じ速度で動かし、countryの楽器を若いrock bandのensembleへ組み込んだ。
- まず聴く3曲: bandの名刺になる表題曲、長い構成の「Nobody’s Fool」、Rusty Youngのinstrumental「Grand Junction」。
- おすすめする人: Eagles以前のcountry rockを、暗い歴史資料ではなく明るく動くband soundとして聴きたい人。
Buffalo Springfield解散後の続きを作った
Richie FurayはBuffalo Springfieldで「Kind Woman」を書き、country寄りの方向を示していた。Jim Messinaは同bandの最終期に演奏、録音、制作を支えた。二人は解散後、その方向を一曲だけで終わらせず、新しいbandの中心へ置いた。
当初はPogoと名乗ったが、同名のcomic stripとの問題からPocoへ改名した。名前を短く変えても、複数の声、pedal steel、acousticとelectric guitarを組み合わせる方針は変わらなかった。
本作はBuffalo Springfieldの残り物を集めたalbumではない。「What a Day」「Calico Lady」「Pickin’ Up the Pieces」など、Furayの新曲を中心に、新しいensembleの速度と明るさを前へ出した。
Rusty Youngのpedal steelを前へ出す
Rusty Youngのpedal steelは、slow country songの後ろで音を伸ばすだけではない。表題曲ではvocalの間を細かく動き、「Grand Junction」ではinstrumentalの主役になる。guitarと競う速さで弾くことで、楽器の役割を広げた。
George Granthamのdrumsと高いharmony、Jim Messinaのguitarとstudio workが、その動きを整理する。複数のpartが多くても音が重くなりすぎず、曲の輪郭が明るく保たれている。
後のEaglesは歌と曲をさらに簡潔に整えたが、Pocoはensembleそのものを楽しませる。pedal steel、guitar、drums、chorusが一斉に動く感触は、このbandならではの魅力である。
代表曲と聴きどころ
What a Day
Richie Furay作。短い「Foreword」からそのまま始まり、複数の声とpedal steelが新しい一日の高揚を作る。album冒頭で、bandの明るい性格をすぐに伝える。
chorusは整っているが、演奏を小さくまとめすぎない。歌と楽器が同時に前へ出るPocoの基本形を聴ける。
Nobody’s Fool / El Tonto de Nadie, Regresa
Furay作。歌を中心にした前半から、長いinstrumental sectionへ移り、guitar、pedal steel、rhythm sectionのやり取りを広げる。
single向けの短い曲だけでなく、live bandとして展開を作れることを示す録音である。albumの演奏力を一曲で確かめたい場合に向く。
Calico Lady
Furay作の短いcountry rock。acousticな感触と軽快なrhythmを使い、長い前曲の後で構成を引き締める。
大きなsoloより、旋律、chorus、pedal steelの受け渡しが中心になる。Pocoの曲が親しみやすく聞こえる理由を、簡潔な形で確認できる。
Pickin’ Up the Pieces
album表題曲。Buffalo Springfield解散後に残ったものを拾い、新しいbandとして前へ進む姿勢を、明るいcountry musicへの言葉で示す。速いpedal steelとharmonyが、その前向きな内容を音にする。
過去のbandを失った話を暗いballadにせず、新しい音を始める宣言へ変えた点がPocoらしい。Richie Furayが目指した肯定的なband像を、最も直接的に表す曲である。
Grand Junction
Rusty Young作のinstrumental。pedal steelを中心に、guitarとrhythm sectionが短いphraseを受け渡す。歌がなくても誰のbandか分かる曲である。
traditional countryの演奏技術とrock bandの速度が直接つながる。本作をcountry風のvocal albumではなく、ensembleの作品として聴く入口になる。
収録曲
- Foreword
- What a Day
- Nobody's Fool / El Tonto De Nadie, Regresa
- Calico Lady
- First Love
- Make Me a Smile
- Short Changed
- Pickin' Up the Pieces
- Grand Junction
- Oh Yeah
- Just in Case It Happens, Yes Indeed
- Tomorrow
- Consequently, So Long
一般的な評価
albumはBillboard 200で63位を記録したが、初期のPocoは大きなhit singleを生み出せなかった。演奏や同業者からの評価に対し、商業的な結果が追いつかなかったbandとして語られることが多い。
それでも、Eagles結成より前にpedal steelとchorusをrock bandの中心へ置いた事実は変わらない。Randy Meisnerは後にEaglesの創設へ参加し、その後任Timothy B. Schmit(ティモシー・B・シュミット)も後年Eaglesへ移る。音だけでなく人の流れからも、1970年代West Coast rockの土台に位置する作品である。
ジャケットについて
白い余白の中に、4人のメンバーと一匹の犬を水彩風のillustrationで描く。大きな「P」と細いserif体の題名を上部に置き、派手な背景や演奏場面は使っていない。
録音に参加したRandy Meisnerはalbum完成前にbandを離れ、coverでは彼の代わりに犬が描かれたとされる。柔らかな絵柄の中に、結成直後から人が入れ替わった事実が残る。音の明るさとは別に、Pocoの複雑な出発を伝えるジャケットである。
どんな人におすすめか
- Buffalo Springfieldからcountry rockへの流れを追いたい人
- pedal steelが速いband演奏でどう使われるか聴きたい人
- PocoとEaglesの人間関係を出発点から整理したい人
- harmonyとensembleを中心にした明るいalbumを探している人
初めて聴くなら
まず「Pickin’ Up the Pieces」で声とpedal steelの速さを聴き、「Grand Junction」で楽器だけのensembleを確認する。次に「Nobody’s Fool」を通して聴き、短い歌だけではないbandの展開力へ進む。
同時期の対照として『The Gilded Palace of Sin』を聴くと、同じcountry rockでもPocoの明るさが際立つ。その後は『A Good Feelin’ to Know』や『Crazy Eyes』へ進むと、編成の変化とRichie Furay期の到達点を追える。
関連ページ
- アーティスト: Poco
- アーティスト: Buffalo Springfield
- アルバム: The Gilded Palace of Sin
- アルバム: A Good Feelin’ to Know
- アルバム: Crazy Eyes
- アルバム: Legend
- 特集: ウエストコーストサウンド名盤10選
参考資料
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