Joni Mitchell の6作目スタジオアルバム。代表曲「Help Me」「Free Man in Paris」を収録し、彼女にとって最大級の商業的成功作となった一枚である。
前作『For the Roses』(1972) で始まったジャズ語法への接近を、より明確にポップ/ロックの枠組みのなかで結実させた作品でもある。LA のジャズ・フュージョン・グループ Tom Scott の L.A. Express をバンドとして起用し、Tom Scott(サックス・木管)を軸に、David Crosby・Graham Nash・Robbie Robertson・Wayne Perkins・José Feliciano・Cheech & Chong などが要所でゲスト参加している。
どんなアルバムか
『Court and Spark』は、ローレル・キャニオン期の内省的なシンガーソングライター作品から、ジャズ/ポップ寄りの洗練へ向かう転換点にある。『Blue』のような私的な緊張感を残しつつ、演奏はより都会的で、リズムやコードの動きも広がっている。
西海岸ロックの文脈では、フォーク・ロック、ソフトロック、ジャズ・フュージョンが自然に重なる場所として聴ける。Joni Mitchell を初めて聴く人にも入りやすく、そこから『Hejira』や『The Hissing of Summer Lawns』へ進む入口にもなる。
聴きどころ
「Help Me」は、Joni Mitchell のポップ性と複雑なコード感が最も分かりやすく結びついた代表曲である。軽やかなメロディの裏側で、L.A. Express の演奏が曲を柔らかく押し出している。
「Free Man in Paris」は、Asylum Records の David Geffen を題材にした曲として知られる。音楽業界の成功と疲れを、明るいサウンドのなかにさらりと混ぜるところに、Joni らしい観察眼がある。
終盤の「Twisted」は Annie Ross のジャズ・ナンバーのカバーで、Cheech & Chong も参加する。アルバム全体がジャズへ開いていく感覚を、少しユーモラスに締めくくる曲である。
収録曲
- Court and Spark
- Help Me
- Free Man in Paris
- People's Parties
- Same Situation
- Car on a Hill
- Down to You
- Just Like This Train
- Raised on Robbery
- Trouble Child
- Twisted
一般的な評価
ビルボード200で2位、米国でダブル・プラチナ認定、彼女として最大の商業的成功を収めた作品。シングル「Help Me」(全米7位)、「Free Man in Paris」(全米22位)がいずれもラジオで広く流れ、彼女の名前を一般リスナーにまで浸透させた。「Free Man in Paris」は Asylum 創設者 David Geffen を題材にした楽曲としても知られる。
関連ページ
- Joni Mitchell『Court and Spark』案内 ── 『Blue』から『Hejira』へ向かう流れの中で本作を見る。
- Joni Mitchell ── ローレル・キャニオン期からジャズ期までの流れを見る。
- Hejira ── 『Court and Spark』以降のジャズ的展開をさらに深く聴く。
- CS&N ── David Crosby / Graham Nash との周辺人脈を見る。
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