The Smile Sessions cover

The Smile Sessions

発売
2011年(主に1966〜67年の録音)
レーベル
Capitol Records
プロデュース
Brian Wilson(原録音)/Mark Linett、Alan Boydほか(2011年版の制作)
ジャンル
Pop / Psychedelic Pop

配信で聴く

解説を読む ↓

The Beach Boysが、『Pet Sounds』の次作として取り組んだ『SMiLE』。当時は発売に至らなかったその録音を中心に、主要曲を一続きのアルバムとして聴ける形にまとめ、セッション資料とともに2011年に発表したのが『The Smile Sessions』である。

録音を主導したのはBrian Wilson。「Heroes and Villains」「Wonderful」「Surf’s Up」などはVan Dyke Parksとの共作だ。声だけで和音を重ねる「Our Prayer」から、異なるテンポや伴奏の部分をつなぐ「Heroes and Villains」へ進むと、コーラスの作り方と録音編集の両方に耳が向く。

本作は2011年の作品だが、聴こえてくる演奏の中心は1960年代のBeach Boysと参加ミュージシャンによるもの。2004年のBrian Wilsonのソロ作『Brian Wilson Presents Smile』は新録音であり、本作とは区別したい。

YouTubeで聴く

▶ The Smile Sessions — 19曲を連続再生(YouTube)

Beach Boys公式チャンネルの音源を、本編の曲順でまとめた19曲のプレイリスト。リスト作成者はBeebs。冒頭の「Our Prayer」から「Good Vibrations」まで続けて聴ける。

まず聴く19曲

以下は、追加音源に入る前のアルバム本編に当たる曲順。2CD、ボックス、配信などで追加音源の量は異なるので、最初は「Our Prayer」から「Good Vibrations」までを通して聴くとよい。

  1. Our Prayer
  2. Gee
  3. Heroes and Villains
  4. Do You Like Worms (Roll Plymouth Rock)
  5. I'm in Great Shape
  6. Barnyard
  7. My Only Sunshine (The Old Master Painter / You Are My Sunshine)
  8. Cabin Essence
  9. Wonderful
  10. Look (Song for Children)
  11. Child Is Father of the Man
  12. Surf's Up
  13. I Wanna Be Around / Workshop
  14. Vega-Tables
  15. Holidays
  16. Wind Chimes
  17. The Elements: Fire (Mrs. O'Leary's Cow)
  18. Love to Say Dada
  19. Good Vibrations

この並びを、1967年に確定していた曲順と考える必要はない。当時の素材を後年に編集・構成したものとして聴きたい。追加収録される「You’re Welcome」や別ミックス、制作途中の音源は、本編を聴いた後に進めばよい。

聴きどころ

Our PrayerからHeroes and Villainsへ

「Our Prayer」は歌詞を持たない合唱。楽器の伴奏を置かず、重なった声の和音を聴かせる。短い「Gee」を挟んで「Heroes and Villains」に入ると、言葉を歌うリードと、その周囲を埋めるコーラスへと声の役割が変わる。

「Heroes and Villains」では、歌の途中で伴奏やリズムが切り替わる。Brianは短い部分を別々に録音し、それらを編集して曲を組み立てた。追加音源の関連セッションまで聴くと、一曲の中の短い部分が、何度も録り直されていることが分かる。

Wonderful

チェンバロの細かく動く伴奏に、Brianのリードとコーラスが重なる。声数の多さだけを聴くのではなく、主旋律が進む間に伴奏と和音がどう変わるかを追いたい。1967年の別アルバム『Smiley Smile』にも同じ曲名があるが、録音と編曲は異なる。

Surf’s Up

前半の伴奏付きの部分から、ピアノとBrianの歌を中心とする部分へ移り、終盤ではコーラスが重なる。歌の節回しと、後ろで動く声を分けて聴くと、短い曲の中で編成が変わっていく様子を追いやすい。

1971年の『Surf’s Up』にも表題曲として収録されたが、本作と同じ録音の組み合わせではない。同じ曲を二つのアルバムで聴くことで、歌と伴奏の選び方による違いを確かめられる。

Good Vibrations

リードを支えるコーラス、低い声の反復、楽器の響きが部分ごとに入れ替わる。短い録音を編集して一曲にする方法を、シングル曲として聴ける例である。関連セッションは本編とは分けて聴き、完成した曲のどの部分を録っているのか照らし合わせると面白い。

『Pet Sounds』の先にある録音方法

『Pet Sounds』でも楽器と声を重ねた制作が行われていた。『SMiLE』期には、それに加えて短い録音の順序や組み合わせを変える作業が大きな役割を持つ。演奏を一度通して録ることと、録音した部分から曲を組み立てることの違いが、本作のセッション資料では分かりやすい。

『Pet Sounds』から本作、そして1971年の『Surf’s Up』へと聴き進めると、曲を発表した順番と録音した順番が必ずしも一致しないことにも気づく。本作は、その間に作られていた歌と演奏をまとめて聴ける一枚である。

未完成の計画と、2011年の作品

『SMiLE』は1966〜67年に制作されたが、当時はアルバムとして発売されなかった。1967年に発売された『Smiley Smile』は、一部の曲や素材を使いつつも、別の録音・編曲で作られた作品である。

2004年にはBrianがDarian SahanajaとVan Dyke Parksの協力を得て『Brian Wilson Presents Smile』を上演し、その後に新たなスタジオ録音を発売した。こちらは2004年の演奏を聴く作品だ。

2011年の本作では、Mark Linett、Alan Boydらが当時の音源を整理した。完成済みの1967年のマスターを発掘したものではなく、残された録音を後年の編集で聴ける形にした作品である。本編を楽しんだ後で別テイクや声だけ・楽器だけの音源へ進むと、歌と伴奏をどう組み合わせたかまで聴き取れる。

CDを購入する

楽天の購入ボタンは、ブックオフ楽天市場店の中古・輸入盤CD『The Smile Sessions』の商品ページへ進む。在庫、送料、商品の状態は販売ページで確認してほしい。

参考資料

配信で聴く

最終更新: